【Q&A】交通事故による刑事事件


8月にバイクで北海道旅行をしました。

十勝地方の国道を抜けて町道に入ったところ、後ろから来た軽自動車がいきなり私のバイクにぶつかり、私は飛ばされてコンクリートブロックの塀にぶつかり、前歯4本を折り、肋骨も3本骨折しました。しかし、相手はそのまま逃走しました。ひき逃げの交通事故ですが、私は通りがかりの人に警察に連絡を入れて頂き、パトカーが到着して病院に運ばれました。外科と歯科で応急処置を受けて、落ち着きを取り戻した頃、警察に事情聴取され、その後、警察は交通事故現場でひき逃げの証拠を収集したりして、犯人を捜す手配をしてくれました。地元の病院では怪我の処置が難しいとのことで、救急車で大病院に入院する羽目に陥りました。翌日、私のバイクに追突した軽自動車の持ち主が判明し、逮捕されましたが、私は1週間は入院しなければならず、住まいが東京なので途方に暮れました。居眠り運転が原因だと警察から説明され、相手が逃亡した事で刑事事件になるので、再度詳しい事情を聞かれました。私自身は、入院治療費、バイクの修理代、慰謝料を請求する必要があるので、交通事故の裁判になるかもしれないと思っています。私の住まいが東京で、交通事故があった場所が北海道、加害者も北海道在住なので、訴訟を起こす場合、どのような手続きをしなければならないのでしょうか。北海道まで出向かなければならないのでしょうか。そのような余裕もないのですが。東京在住の私は、慰謝料などを含めた損害賠償の請求をどのようにすれば良いのでしょうか。

弁護士としての助言

交通事故による損害賠償請求は,通常,不法行為に基づく損害賠償請求として,訴訟を提起します。この場合,裁判の管轄は,加害者の住所地であり、不法行為のあった北海道か,義務履行地としての東京のいずれでも可能です。貴方は東京在住なので,東京地方裁判所に訴訟を提起すればよいと思います。
但し,民事訴訟法第17条には,当事者及び尋問を受けるべき証人の住所,使用すべき検証物の所在地その他の事情を考慮して,訴訟の著しい遅滞を避け,又は当事者間の衡平を図るため必要があると認められるときは,申立により又は職権で訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができるとの規定があります。そのため,裁判を提起した後,相手方から,北海道の裁判所への移送の申立がなされることもあります。その場合,前記規定に基づき,裁判官が北海道の裁判所への移送を認めることがないとは言えませんが,一般的には,このような状況で特段の事由がない限り,被害者である貴方の住んでいる東京の裁判所で裁判が行われると思います。