【Q&A】相続のことでご相談です
先日、父が亡くなりました。
私は兄と妹の3人兄弟で、遺産分割についての話合いを行わなければなりません。突然のことでしたので、父は遺言書など、何も残しておらず、私達も遺産分割についてよく分かっていない状態です。
父の遺産としては、家族で暮らしていた土地と家、銀行預金、保険金、父が保有していた株式などがありますが、兄弟でどのように遺産分割すれば良いのでしょうか。銀行預金や保険金などの現金であれば、話合いで均等に分けることが可能だと思うのですが、土地や家、株式などは、どのように兄弟で遺産分割すれば良いのかがよく分かりません。誰か一人が相続してしまうと、不平等になってしまうようにも感じますので、その際には現金をその他の兄弟が多めに受け取るなどして対応出来るものなのでしょうか。不均等な分配であっても、話合いで双方が納得できれば、法律的には問題が無いものなのでしょうか。父が遺言書などを残しておいてくれれば、こんなに悩むこともなかったのに、と思います。
ちなみに、現在、父の残した家に住んでいるのは私と妹だけで、兄はすでに結婚して独立しています。母は数年前に他界していますので、父と私と妹の3人暮らしをしていました。自宅も株式も売却してしまって、現金を3人で均等に分けるというのが、一番揉めない方法という気もしますが、本当にそれでいいのかどうか迷っています。是非とも、何か良いアドバイスをいただければと思います。よろしくお願い致します。
弁護士としての助言
父親の遺言などがない場合,兄弟3人であれば,相続財産を法定相続分に従って3分の1ずつ分けるのが原則です。
しかし,法定相続分というのは,当事者間に争いがあったり,調停や審判手続で遺産分割を行うときの基準にはなりますが,当事者全員が納得すれば,例えば兄が2分の1相当額,その他の者が4分の1ずつ取得することは,何ら問題がありません。
あなた方の相続財産は
①家と土地 ②銀行預金 ③保険金 ④株式
とのことですが,保険金は、受取人が指定されている場合には,相続の対象外になり,指定された受取人のものになります。
貴方のケースの場合,貴方と妹さんが自宅を取得し,兄が預貯金や株式を取得しても,貴方や妹さんの取得分が3分の1より多いときは,代償金として金銭を支払う方法で調整する場合もあります。
本件のような場合,3人の話し合いで解決できるのであれば,それが一番良いと思います。
しかし,兄弟3人となると,色々意見が分かれたり,不動産を貴方と妹さんが取得するにしても,その評価額をいくらにするかなど,当事者間では話し合いがまとまらない場合がありますので,その場合は家庭裁判所に遺産分割調停の申立を行うのが良いと思います。
調停になれば,裁判官と2人の調停委員が,当事者の話を聞いたうえで,当事者の希望を踏まえつつ,公平に分配ができるように助言をしてくれます。当事者が納得すれば調停は成立しますが,どうしても調整ができない場合には,審判手続に移行して,裁判官に最も合理的な配分方法を決定してもらうことになります。
当事者間に大きな意見の隔たりがあったり,感情的になっている場合には,弁護士に相談し,弁護士費用がどの程度かかるのかを計算したうえで,弁護士に依頼することも1つの方法です。