【Q&A】相続における遺産分割調停の質問

両親が亡くなる時期が迫っている場合には、残される兄弟に遺産相続の問題が生じます。

しかし、遺産分割調停などについて詳しく理解していない一般人にとっては、非常に難しい内容であり、専門家の力が必要になります。遺産分割調停においては、いつの時点を基準として遺産の評価は決めるのか、という質問があります。両親が高齢になってきているため、持ち家などの不動産やゴールドバーなどの遺産を、兄弟で分割しなければならない時期が近くなっています。親族には、過去にそのような遺産分割を経験した方がいるのですが、かなり以前の出来事で記憶に残っていないと言われました。遺産の評価を決定する時点によっては、遺産分割した際に手に入るものの価値が相当に変わってきます。両親が亡くなったあと、残された兄弟全員が平等で納得できる遺産分割を受けたいと考えています。兄弟のなかには、経済的に苦しく、日々の生活に困りかけているような者もいます。相続や法律の知識が乏しい一般人には、専門家の豊富な経験や見識に頼るより他に方法がありません。近い将来、残された遺族となる兄弟のため、専門家の方々から適切な回答やアドバイスをいただけますよう、お願い申し上げます。遺産の評価を決めるために基準とする時期が判明すれば、それによって受け取ることができる遺産の価値を把握することが可能になります。その価値の大きさによって、兄弟全員が先の見通しについて検討することができるようになります。お手数ですが、ご回答の程、よろしくお願いいたします。

弁護士としての助言

現実に,遺産を分割する場合の評価の基準時は,分割時とするというのが公平かつ合理的であると考えられています。実務上も,そのように取り扱われています。
たとえば,本件で,父親が亡くなった時点(相続時)を基準にすると,その時点では,不動産は3000万円,ゴールドバーも3000万円であったとしても,実際に分割するまでに年月が経ち,不動産は2000万円となり,ゴールドバーは4000万円になっている状態で,相続時を基準に兄が不動産を取得し,弟がゴールドバーを取得するということでは,明らかに不公平になると思います。
したがって,やはり,現実に分割する時点で評価し,兄が不動産を取得するのであれば,ゴールドバーを取得した弟から兄に対し,1000万円を支払うというような解決がなされます。
但し,ゴールドバーについては,分割時の売値で評価することになると思います。一方,不動産については,その評価の目的に従い,公示価格,固定資産税評価額,相続税評価額(路線価),鑑定評価額,不動産業者の簡易査定額など,様々な基準があります。
調停などでは,当事者の合意で,相続税評価額を基準とする場合も多いですが,評価額に争いがあるような場合,鑑定によって決めることもあります。但し,不動産鑑定には,土地の面積にもよりますが,最低でも20~30万円はかかると思ってください。
なお,費用をかけずに査定する方法として,不動産会社に無料査定を行ってもらい,その平均値で合意して決めるということも多く行われています。