【Q&A】円満に相続問題を解決したいです

遺産相続の件で困っています。

協議・調停でも話がつかなかった場合には、遺産分割審判によって決定するということなのですが、その手続きの流れなどがよく分からないので教えてください。
自分としては、なるべく円満に解決したいと思っています。現在、親族で遺産相続に関して話合いを行っている最中です。しかし、なかなか全員の合意が得られる結論に達することが出来ず、時間ばかりがかかってしまっています。話合いを上手く取りまとめられる者もいないため、なかなか結論が出ないことから、第三者に入ってもらって話合いを進めた方が良いのではないかと思いました。
遺産分割の調停と審判は家庭裁判所で行われるということですが、どのような違いがあるのでしょうか。詳しく教えて頂けたらとても助かります。また、費用などもかかるものなのでしょうか。また、遺産分割に関して、やはり本人の遺言書が一番優先されるものなのでしょうか。遺言の内容に関して相続権を持っている者が不服を申し立てた場合、どのようになるのかについても教えてください。出来れば、調停や審判では、親族全員が参加するような形式で進めたいと思っているのですが、それは可能でしょうか。是非とも、このようなことに関して教えていただけたらと思います。遺産分割に関して、私としては、なるべく円満な形で全員で話合いを進めたいと思っていますし、後々わだかまりが残るのは嫌ですので、みんなが納得出来るようなやり方がいいと思っています。より良いやり方について、アドバイスなどもらえれば大変有り難いです。

弁護士としての助言

1 遺産分割の調停と審判の違いについて
(1)遺産分割の調停は,あくまで相続人が調停の席上で話し合い,
① 相続人の範囲
② 遺産の範囲
③ 遺産の評価
④ 各相続人の取得額
⑤ 遺産の分割方法
などを順次決めていきます。
調停の場合,2名の調停委員が当事者の話を順次聞きながら,合意成立に向けて指導してくれます。但し,必ず担当の裁判官がおり,困難な場面では,裁判官が調停の席上に出席して,当事者を説得したりすることもあります。
(2)遺産分割の審判
調停手続により話し合いを行ったものの,どうしても合意ができず,調停が不成立となった場合には,遺産分割などについては,家事審判の申立があったものとして,審判事件に移行します。この場合,担当するのは,裁判官1名です。
但し,裁判官も,直ちに決定を出すのではなく,さらに当事者の話を聞いたり,資料の提出を求めたりして,どのように分割するのが一番合理的であるかを模索します。また,できるだけ話し合いにより決着できるように,努力します。
審判の過程で話し合いがつけば,調停手続に戻して調停を成立させ,どうしても話し合いがつかない場合には,裁判官が決定を出すことになります。
2 費用について
被相続人1人につき1200円の収入印紙を遺産分割調停申立書に貼り,その他に郵便切手がかかります。審判移行したからといって,特に新たに印紙代を求められたりはしません。
3 遺言の内容に対する不服
遺言が遺言者の意思に基づかず,脅迫や強制により作成されたものであるとか,遺言作成時に意思能力を失っていたとか,本人が作成したものではないとかを争う場合については,裁判所に遺言無効の訴訟を提起することになります。しかし,遺言が有効に成立したことを認めながら,その内容に不満があるとして争うことはできません。
但し,遺留分制度というものがあり,たとえば2人の兄弟のうち,兄に財産を全て相続させるという遺言があった場合には,弟は,本来の相続分である1/2の1/2に相当する1/4については,遺留分減殺請求という手続により,1/4相当分の返還を兄に求めることができます。