建物収去土地明渡請求事件3
- 2019年02月08日
- 不動産問題の事例
◆ 事件の内容
(1)依頼人は,千葉市在住の高齢の女性でした。
相手方は,依頼人から土地を借り受け,その土地上に軽量鉄骨で平家建の事務所を設置し,さらに,花壇やブロック塀,コンクリート舗装のカーポート,物置など様々な設備を設けていました。
しかし,相手方は,地代を支払ったり支払わなかったりで,137万円ほどの未払いが生じていました。
(2)依頼人は相手方に対し,賃料を請求し,支払えないのであれば土地を明け渡してほしいと要求しました。
これに対し,相手方は,明渡料(引越代や休業代等)がかかるので,賃料の未払金額を免除したうえ,建物の解体や撤去費用を依頼人の方で負担するのであれば,明け渡しても良いという回答でした。
(3)依頼人としては,相手方の経済状態から,未払い賃料を回収できないのはともかく,撤去費用を依頼人に方で負担しなければならないというのは,どうしても納得できないという相談でした。
◆ 事件の解決
(1)借地契約においては,借地借家法により,様々な面で借地人が保護されています。
しかし,その代わり,賃料の支払いについては,裁判所も厳しく判断しており,何ヶ月も何年も賃料が滞り,催促しても支払わない場合には,無条件で契約の解除を認めています。
(2)本件においても,この間,賃料が5年ほど支払われていないことから,10日程度の期間をおいて,未払い賃料137万円の支払いを求め,その期間内に支払がない場合には,本件賃貸借契約を解除する旨の内容証明郵便を送付しました。
(3)しかし,結局,未払い賃料が支払われなかったため,私の方で依頼人を代理して,裁判所に建物収去土地明渡の訴訟を提起しました。
相手方は,未払い賃料額について,「このような金額にはなっていない」とか,依頼人の夫から「明け渡してくれれば,これまでの未払い賃料を免除したうえ,明渡しの費用(建物の解体費用や撤去費用)を負担する」と言ってくれていた等の抗弁が出されました。
(4)しかし,結局,裁判所の指導もあり,依頼人の方は,当初覚悟していた未払い賃料は免除するかわりに,相手方は,軽量鉄骨の事務所や花壇,カーポート,物置,コンクリート舗装等を全て綺麗に撤去して明渡しが終了しました。
それでも,訴訟提起から解決まで,9か月を要しました。
◆ 弁護士のコメント
この間,依頼人の女性は,心労も重なったせいか,ご病気になってしまいました。
しかし,本件が解決したため,とても喜んで頂けました。
地主さんの中には,唯一のよすがである賃料さえ支払ってもらえないまま,土地を貸し続けていたり,家を貸し続けている方も結構多くいらっしゃいます。
地主さんや家主さんがもめごとを好まない性格であったりすると,借主はそれを良いことに,当然支払うべき賃料を支払わずに居座っている場合もあります。
このような場合は,納得できないまま悩んでいるのではなく,弁護士に相談する等して解決してください。
ずるずる引き延ばされていることは,経済的にはもちろん,精神的にも良い結果にはなりません。
解決のため,一歩踏み出してください。