妻と夫の兄弟による遺産分割
- 2014年09月25日
- 家族・親族間問題の事例
♦ 相談内容
先般,夫が亡くなりました。夫婦の間に子供はなく,夫の両親も既に死亡しております。但し,夫の兄弟が,3名おります。
夫が残した財産は,自宅(時価約900万円相当)及び預貯金約880万円です。
私としては,自宅を処分して,相続分を基本としつつも,できれば,妻である私が幾分有利になるように解決してほしいと考えています。
亡夫の兄弟は,相続権を強く主張しているわけではありませんが,なにがしかの金銭の給付を受けたいと考えているようです。
♦ 解決内容
亡夫の兄弟が相続権を強く主張しているような場合は,「遺産分割調停」を申し立てるほかありません。
この場合,妻の相続分は3/4であり,残り1/4を夫の3人の兄弟で分けることとなり,各兄弟の相続分は1/12ということになります。
しかし,本件では,弁護士が入れば,遺産分割調停を申し立てることなく解決する可能性があったため,亡夫の兄弟3名に対し,相続財産を正直に開示したうえ,
・ 調停により解決するか,
それとも,
・ 当職が中心となって相続財産を計算し,資料を付け,納得してもらえれば,「遺産分割協議書」を作成する方法で良いか
の回答を求めました。
その結果,3名のご兄弟全員が,当職がきちっとした資料を付けて提案すれば,特に調停手続は望まないとのことでした。
そのため,遺産分割の調停手続は取らずに,当職が中心となり,全員の承諾のもと,次のように手続を進めました。
① 「遺産分割協議書」の作成(亡夫の相続財産全部を,依頼者である妻が相続したうえ,各兄弟には,一定額の代償金を支払うという内容)
② 預貯金については,相続人全員の署名・押印による書類に「印鑑証明書」を添付して,各銀行に提出して引き出し,当職が一時保管
③ 不動産については,信頼のおける不動産業者に売却を依頼して処分
④ 約束していた代償金をご兄弟にお支払いし,残りは妻が取得
♦ 弁護士からのコメント
本件のように,遺産分割について,当事者間ではなかなか話し合いがつかないものの,さりとて「遺産分割調停」を申し立てるまでは必要ないと考えられる場合は,弁護士が入って,比較的早期にかつ適正に処理することもあります。