盗撮事件 2


◆ 事案の概要

依頼人であるAさんは、一定の地位もある中年の男性です。

Aさんは、駅のホームの階段で、女子高生のスカートの中を下の方から撮影し、その場で現行犯逮捕されました。

さらに、当職がAさんの弁護人になった時には、Aさんは勾留もされており、自宅の家宅捜索により、同種犯行の写真がAさんのパソコン内に保存されていることが明らかになっていたという事案です。

 

◆ 解決内容

当職は、被害者の方と示談するため、検察官を介し、当方の示談の意向と「弁護士限りということで連絡が欲しい」ということを、被害者のご両親に伝えていただきました。

しかし、被害者のご両親は、「金銭の要求や示談をする意思はない」とのことで、被害者の方の連絡先を教えていただくことはできませんでした。

そのため当職は、「弁護士が示談金を預かって保管しているので、仮に刑が確定したとしても、その後一定期間にお申し出があれば、金銭のお支払いをする」との書面を作成し、検察官から被害者の方に渡していただけるようお願いしました。

最終的に、この件で示談は成立せず、加えて、常習的な犯行である可能性も伺われました。

しかし、

・ 被害者の方に対し、示談に向けて最大限努力していたこと

・ Aさんが社会的制裁を受けていたこと

・ Aさん自身が真摯な反省をしていたこと

が考慮されて、正式裁判にはならず、略式罰金(30万円)ということになりました。

 

◆ 弁護士のコメント

性的犯罪を犯してしまう人の中には、犯罪が発覚した場合、社会的地位を失い、家庭が崩壊しかねないことを十分認識していながらも、どうしても衝動を抑えられないという人がいます。

薬物依存症と同じように、性的依存症として治療しなければならない事案も多いのです。

しかし、薬物依存症治療の専門医療機関は多くありますが、性的依存症の専門的な治療ができる場所はまだ少なく、性的依存症についても、専門的な医療機関の充実が早期に図られるべきであると、この事件を通して強く感じました。