交通事故(被害者側)2
- 2015年01月21日
- 交通事故問題の事例
◆ 事件内容
依頼人(主婦)は,車の運転中,一時停止のある交差点に停止していたところ,加害者の運転する車両に,後方からノーブレーキで追突されました。
その結果,依頼人は,頸椎・腰椎捻挫等の傷害を負ったという交通事故の事件です。
◆ 解決内容
1 最初に,加害者の自賠責保険会社に対して,被害者請求(裁判等で最終的な損害額が確定する前に,自賠責保険の範囲内の賠償を被害者が求める請求です)の手続をとりました。
これにより被害者は,「後遺障害14級」と認定され,75万円の交付を受けました。(後遺障害等級が14級の場合,自賠責保険から支払われる金額は,75万円が限度とされています。)
2 その後,治療費・交通費・休業損害・慰謝料(入院及び後遺障害)・弁護士費用を算定し,訴訟提起しました。
当方は,症状が固定するまで働くことができなかったとして休業損害を請求しました。
しかし,相手方(加害者)からは,
・ この程度の障害ならば,症状固定まで働くことができないことはない
・ 後遺障害等級14級9号「局部に神経症状を残すもの」に該当するような場合,5年程度で治癒すると評価される
との反論がなされました。
裁判所は,治療費・交通費は全額,休業損害は約2分の1,後遺障害による逸失利益は約2分の1,慰謝料はほぼ全額を認める形で,270万円の和解が成立しました。
その結果,依頼人は,保険会社からの支払いを含め,482万円の支払いを受けることができました。
◆ 弁護士のコメント
この案件は,交通事故の典型的な事例です。
被害者の代理人弁護士としては,当然のことながら,めいいっぱいの請求はするものの,休業損害については,主婦であれば実質的に家事労働を全くできなかった期間,徐々に回復してきている段階では,“この期間は20%程度労働できた”,“この期間は50%程度労働できた”というように,労働能力をどの程度喪失していたのか,その実態を反映する形で賠償額が認定される場合がほとんどです。
また,逸失利益(事故がなければ得られたはずの将来的な利益)の算定についても,後遺障害14級9号「局部に神経症状を残すもの」については,一般的に就労可能とされる65歳までではなく,その期間を5年程度と評価されるのが一般的です。
その意味で,この和解は,請求額から一定程度減額したうえでの和解でしたが,弁護士としては,適正な額での和解であったと思います。