過払金の返還
- 2014年11月25日
- 借金問題の事例
◆ 相談内容
依頼人は,平成8年5月に消費者金融U社から30万円を借り入れ,その後,借入と返済を繰り返し,最終的に,平成21年4月まで取引を行っていた。
また,依頼人は,平成9年12月に,消費者金融D社からも50万円を借り入れ,その後,借入と返済を繰り返し,最終的に,平成21年4月まで取引を行っていた。
いずれの借入についても,依頼人は,利息を含め,全額を完済している。
しかし,高い利息を取られていたことから,依頼人は,「過払金を返還してもらえるのではないか」と考え,相談に来た事案。
◆ 弁護士の対応
本件に限らず,このような場合,弁護士は,一般的に次のような対応を行います。
① 依頼人の取引相手である消費者金融に対し,弁護士が事件を受任したと通知すると同時に,依頼人の全取引履歴の開示を求めます。
② 依頼人の取引履歴が開示された後,直ちに,これを利息制限法の利率(10万円未満 年20%,10万円以上100万円未満 年18%,100万円以上 年15%)で引き直し計算し,過払金が生じていることを明らかにします。
③ 消費者金融に対し,過払金が発生している事実を通知し,その返還を求めます。
消費者金融の担当者と交渉すると,通常の過払金の発生は認めるものの,和解については,「過払金の7割を,4,5ヶ月後に支払う」というような内容の和解案を提示されたりします。
もちろん,交渉により,返還される額を増やしたり,支払期日を短期間にすることもできると思います。
しかし,限度があるため,過払金をきちっと回収しようと思うならば,裁判を起こす方が得策です。
但し,依頼人が早期解決を望む場合(依頼人が,経済的に苦しく,早期の返還を希望している場合)には,いくぶん妥協しても,早期に解決します。
どのような道を選ぶかは,最終的には,依頼人に決断して頂きます。
◆ 本件事件の解決
本件事件においては,約328万円の過払金が発生していました。
また,この過払金について,遅延損害金(過払金発生時から現在に至るまでの年5%の損害金)を含めて計算すると,約435万円となりました。
本件事件は,平成26年2月に訴訟を提起しました。
相手方の消費者金融は,徹底的に争う姿勢を示し,「既に当事者間で和解が成立している」等の抗弁や,「支払が1回遅れた時点で,既に期限の利益を喪失し,遅延損害金29.2%の計算になる」などと主張しました。
最終的に,裁判官の和解勧告により,平成26年9月に和解が成立し,同年10月31日限りで,相手方の消費者金融から,328万円を回収しました。
◆ 弁護士のコメント
過払金については,裁判をすれば,より多くの回収が可能となることが,ほぼ明らかです。
しかし,最近では,消費者金融も財政的に苦しく,徹底的に,訴訟の引き延ばし作戦や,あらゆる論点について争う姿勢を示します。
訴訟を提起した場合,本件事件を例にしても,解決して金銭を回収するまでに,8ヶ月を要しました。
したがって,依頼人の希望を尊重しながら,金額がいくぶん目減りしても早期解決を望むか,時間がかかっても出来る限り多くの回収を希望するのか,回収の見込み等も含め,十分にご説明させて頂いたうえで,判断してもらいます。
なお,事件処理にあたっては,1件あたり,着手金として2万1600円(消費税込み)をお支払い頂きますが,その後,訴訟となった場合には,依頼人に金銭負担をして頂くことなく,過払金を回収した際に,実費の精算と報酬(回収額の2割)を支払って頂くことにしています。